結婚しなかったり、パートナーに先立たれたりして一人暮らしの女性は増えてきています。
女性の一人暮らしには多くの不安がつきまといます。
「入院や介護が必要になったときにどうすればいいの?」「認知症になったときは?」
「孤独死を避けるためにはなにをしたらいいの?」「亡くなったあとの葬儀や遺品整理、お墓はどうしたらいいの?」
といった不安を終活することで解決していこうという記事になっています。
この記事の目次
一人暮らし女性の高齢者は年々増えている
2021年に内閣府が公表した「令和3年版高齢社会白書」によると、
令和2年の日本の65歳以上の高齢者は3,619万人となり全人口の28.8%で約3割弱が高齢者なのです。
さらに実測されている2015年の一人暮らしの高齢者数は約592万人。
そのうち女性の一人暮らしは男性よりも多く約400万人となっています。
男女別に割合をみると高齢者のうち男性で13.3%、女性で21.1%、高齢者女性の5人に1人が一人暮らしをしています。
一人暮らしの高齢者は2030年には約795万人、そのうち高齢者女性で約502万人が一人暮らしになると推計されています。
一人暮らし女性の終活は人間関係から
一人暮らし女性の終活でまず最初にやっていただきたいことは人間関係の確認です。
もしものときに頼れる人がいるか?いないか?
家族や知人など頼れる人がいる場合はその人と相談しながら終活を進めていきましょう。
頼れる人がいない場合は「生前契約」を検討してみてください。
聞きなれない言葉だと思いますが周りに頼れる人がいない方は「生前契約」が重要になってきます。
「生前契約」とは身元の保証や日常生活の支援、死後の事務等を第三者に代行してもらうサービスです。
生前契約は主に3つに分類できます。
- 生前事務委任業務
- 任意後見業務
- 死後事務委任業務
生前事務委任業務
賃貸住宅への入居や海外旅行ときの緊急時連絡先としたり、入院や施設に入居する際の身元保証人になってもらったりするものです。
任意後見業務
認知症などで判断能力が衰えてきたときにあらかじめ契約した範囲で法律業務を代行してもらいます。
家賃や公共料金の支払いを代わりにしてもらったり、入院計画など家族の同意が必要なときに代行して同意してもらったりします。
死後事務委任業務
亡くなったあとの葬儀や遺品の引き取り、死亡届や火葬許可証などの事務処理、公共料金の未払い分の支払いやもろもろの契約の解除をしてもらいます。
入院や介護が必要になったときは
人はだれでも突然の事故や病気で入院や介護が必要になる可能性があります。
そのときに必要になってくるのが身元保証です。
頼れる人がいる場合には身元保証人になってもらうように相談しておきましょう。
頼れる人がいない場合は「生前契約」の生前事務委任契約を検討しましょう。
いまのところ身元保証の代行サービスは生前契約以外あまりないようです。
生前契約以外では下記のような方法があります。
- 身元保証が必要ない病院や施設を探す
- 入院保証金や預託金を支払うことで身元保証が不要になるケースもあるので確認する
また、そういった入院や介護が必要になる場合に備えて医療保険や生命保険を見直しておくことも大切です。
認知症になったときは
認知症は決してめずらしい病気ではなく、年をとればとるほど認知症になる確率は高くなります。
やっかいなのは本人に自覚がなくても知らないうちに症状が進んでしまいます。
一人暮らし女性が認知症のリスクを軽減するには積極的に人とかかわるようにしましょう。
そうすることで身体の変化や異常に気付いてくれ、初期の段階で対処できる可能性が高まります。
- ご近所づきあい
- 自治体のイベントへの参加
- 普段行くお店や施設の人と仲良くなる
- できるだけ働き続ける
家族や知人に頼れる人がいる場合は同居や近居も検討してください。またセンサーなどで家族に異常を知らせてくれる見守りサービスなどもあります。
頼れる人がいない場合は「生前契約」で任意後見人契約を検討しましょう。
任意後見人契約は判断能力が衰えてきたときの後見人を事前に選んで契約しておく制度です。
後見人は本人に代わって公共料金や家賃の支払い、病院などとの必要な契約や手続き、財産管理をしてくれます。
あらかじめ自分の信頼できる人を後見人に選んでおけば安心です。
後見人をだれに頼めば分からないという方は、まずはお住いの自治体に相談してみましょう。
孤独死を避けるためには
年齢に関係なく一人暮らしをしているだれしもが孤独死の危険があります。孤独死を避けるための対策をしましょう。
働き続ける
働けるうちは働いて多くの人とつながりを持ちましょう。仕事・ボランティアなど社会や地域とのつながりを保つことで孤立しない一人暮らしを過ごすことができます。
見守り
1人暮らしの高齢者が安心して生活できるように市区町村でさまざまな見守りを行っています。
民生委員やボランティア、見守り協力機関などの人たちが訪問や声掛けなどを行います。地域によって細かい内容は違いますのでお住いの市町村窓口に確認してみてください。
郵便局や民間企業の見守りサービスもあります。郵便局の場合、郵便局社員が自宅を訪問して会話した様子を家族に伝えるといったものです。
そのほか警備会社が行っている見守りサービスは自宅に施錠確認センサーや非常ボタンなどを設置して、異常があれば駆けつけてくれるといったサービスもあります。
定期的に自宅に訪問してもらう訪問系のサービスを利用する方法もあります。訪問介護や看護だけでなく定期的に食材を届けてくれるサービスを利用するのもいいでしょう。
施設への入居
孤独死の対策として安心な対策の一つがサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームへの入居です。
介護認定を受けていなくても入居できる高齢者住宅も増えてきており、職員が日々の健康管理や安否確認を行ったり、緊急のときに対応できる体制が整っている住まいだと孤立する不安はないでしょう。
葬儀や遺品整理はお墓は?
亡くなったあとのことも考えておかないといけません。
葬儀や家の片づけ、納骨や埋葬、役所の手続き、さまざまな契約の解除や費用の清算、パソコンのなかの個人情報やSNSの削除・・・などなど亡くなったあとでもやることがたくさんあります。
できるだけ家族や親族、知人に迷惑をかけたくないと思われる方もいるでしょう。
死後のさまざまな手続きを第三者にやってもらうのが「生前契約」のうちの死後事務委任契約です。
死後事務委任契約は自由に相手を選べますが一般的には司法書士など法律の専門家に頼みます。
神奈川県や千葉県などの一部の自治体では生前契約の支援を行っています。
まとめ
一人暮らし女性の終活では基本的に生前契約が必要になってくる場合が多いです。
生前契約は元気なうちでないとできないものです。体調や意識に問題を感じ始めた場合はなるべく早く検討しましょう。
ただし、生前契約には経営破綻・費用の持ち逃げの前例や危険もあります。
生前契約をする相手の見極めも必要です。
東京都や神奈川県や千葉県の一部の自治体では生前契約の支援サービスがあります。
まずはお住いの自治体の地域包括支援センターなどに相談してみましょう。