「介護度ってどうやって決まるの?」
「要介護認定を受けるときに気をつけることはなに?」
「要支援と要介護ってどうちがうの?」
「介護度が納得いかないときは変更できるの?」
といった疑問や悩みを解決する記事になっています。
年齢や病気などで身体が不自由になると自分だけで日常生活を送ることが難しくなり、介護が必要になってきます。
そんなときにデイケアなどの介護サービスを利用することで、家族や周りの人の負担を軽減できます。
介護度はどんな介護サービスをどの程度必要か判断するために決める必要があります。
ここでは介護度を決める認定基準や注意点について解説しています。
介護度ってなに?
高齢者や身体障害者など身体が不自由になり介護が必要になります。しかし、ひとえに介護といってもどの程度の介護が必要かはそれぞれ違います。
介護度とはどの程度の介護が必要なのかといった基準を示すものです。
要介護認定を受けることで、本人の身体や精神の状態に応じて「要支援1・2」または「要介護1~5」の7つの段階に分けられます。
介護度は介護保険制度によって定められた全国一律の基準です。どの市町村や都道府県に住んでいても、同じ基準に基づいて介護度が評価されます。
ただし、判定は実際の要介護状態だけでなく、障害や認知症の有無、持病や過去の健康状態なども考慮されます。そのため、同じ病気や障害を持っていても、同じ介護度になるとは限りません。
介護度を決める認定基準
介護にかかる時間によって決まる 要介護認定の基準は、「その人の介護にはどれくらいの手間がかかるか?」という観点から定められます。
具体的には、「要介護認定等基準時間」という尺度で介護の手間を評価し、要介護度を判定します。 介護は、以下の5つの分類に分けられます。
- 直接生活介助:入浴や排せつ、食事の介助など
- 間接生活介助:洗濯や掃除などの家事援助やコミュニケーションなど
- 問題行動関連介助:徘徊や不潔な行為への対応など
- 機能訓練関連行為:歩行訓練や日常生活訓練などの機能訓練
- 医療関連行為:輸液の管理や処置の補助などの医療の支援
これらの介護に要する時間が「要介護認定等基準時間」であり、この時間に応じて要介護度が決まります。
要介護度と基準は以下の通りです。
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当する状態 |
要支援2
要介護1 |
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当する状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当する状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当する状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当する状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当する状態 |
(参考情報:厚生労働省による要介護認定はどのように行われるか)
要支援と要介護の違いは?
- 認知症の有無
- 状態の安定性
要支援2と要介護1は要介護認定等基準時間が同じです。
要支援2と要介護1の基準の境目はわかりにくいですが、その判断は非常に重要です。なぜなら、要支援か要介護かによって受けられるサービスや給付金額が大きく異なるからです。
要支援2と要介護1を区別する基準は大きく2つあります。
認知症:思考力や理解力に支障をきたし始めると要介護1に分類されます。認知症の疑いの有無が重要な要素となります。
状態の安定性:かかりつけの医師の判断によって、将来的に状態が大きく変化する可能性がある場合、要介護1に分類されます。
この2つの基準のうち、どちらか一方でも該当すれば、要介護1と判断されます。要介護1の判定を受けると、より多くの介護サービスや給付金を受けることができます。そのため、要支援2と要介護1の境目について理解しておくことは重要です。
介護度の変更や見直しについて
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- 介護認定には定期的な更新が必要
- 認定結果に不満がある場合は要介護認定のやり直しが可能
- 体調の変化があったときには介護度の変更申請ができる
要介護認定は介護認定審査会の判定に基づいて介護度が認定されます。通知までには約1ヵ月程度かかる場合もあります。通知を受けると、要介護・要支援の区分に応じた介護保険サービスを利用できるようになります。
認定には期限があり、定期的な更新が必要です。新規認定は半年間の有効期限があり、更新認定は1年間の有効期限が設けられています。期限が過ぎると認定の効力がなくなり、サービスが利用できなくなります。更新のためには申請が必要で、申請すると再度訪問調査が行われます。
認定結果に不服がある場合は、まず市役所に相談しましょう。理由について説明を受けることができます。それでも納得できない場合は、介護保険審査会に申し立てることができます。
体調の回復や悪化があった場合は、介護度の変更を申請することができます。この場合、有効期間を待たずに区分変更申請が可能です。ただし、変更申請は要介護申請と同じ窓口で行う必要があります。
認定調査の注意点
- 正直に現在の身体状況を伝えること
- 必ず家族が立ち会うこと
- 調査の時に出ていない症状等も伝えること
- 普段の状況をメモで伝えること
- かかりつけ医に意見書を書いてもらうこと
認定調査では、本人ができることよりも介助が必要な状況を重視します。そのため、本人や家族が正直に情報を伝えることが重要です。家族の立ち会いや調査時に出ていない症状の伝え方も注意が必要です。普段の状況をメモに残して伝えることやかかりつけ医に意見書を書いてもらうことも助けになります。また、介護認定の基準が厳しくなっていることも認識しておきましょう。
まとめ
要介護認定は、自分の状況に合わせた介護サービスを利用するための重要な手続きです。わずかな違いでも認定の段階が変わり、利用できるサービスに違いが出てきます。
だからこそ、自分で判断するのではなく、少しでも介助が必要な状態になったら、要介護認定を受けてみることが大切です。認定を受けると専門の調査員が客観的に現在の状況を評価してくれます。自分自身では気づきにくい部分や、必要なサポートの程度が明確になるため、現状把握の意味でも申請してみる価値があります。
要支援・要介護の認定を受けることで、さまざまな支援サービスを受ける権利が与えられます。介護保険や地域の支援制度を利用する際にも、認定の結果が必要となります。また、認定結果によっては負担割合や利用料金が変動することもあります。
違いがわずかでも、要支援・要介護認定の段階が異なるため、利用できるサービスの範囲や受けられる支援の内容も異なってきます。自己判断せずに、自分の状況に合った支援を受けるためにも、要介護認定の申請を検討してみましょう。