この記事は
「墓じまいのやり方が分からない」「墓じまいってそもそもどういうこと?」
「墓じまいの注意点は?」「墓じまいってなんだか大変そう」
といった疑問や悩みを解決する記事になっています。
「墓じまい」という言葉を以前より聞くようになりました。
実際に墓じまいは年々増えてきています。
この記事では墓じまいのやり方と注意点をお墓業界20年以上の経験を踏まえてまとめました。
ぜひ参考にされてください。
この記事の目次
墓じまいってなに?改葬とどう違うの?
墓じまい = お墓を撤去し、墓地を更地にして使用権を管理者に返すこと
そのため墓じまいだけだとお墓に納骨されていたご遺骨を納めるところがなくなってしまいます。
改 葬 = 既存のお墓から別のお墓や納骨堂、樹木葬、自然散骨にご遺骨を移すこと
基本的には墓じまいをするときには改葬をしないといけません。
ただ最近では寿陵(生前にお墓を建てること)で建てた新しいお墓の墓じまいを頼まれたりもします。
その場合はお墓にご遺骨がないため改葬もありません。
墓じまいはだれに頼めばいいの?
お墓がある霊園や墓所によっては業者が決められている場合があります。
まずは墓地の管理者に確認してみましょう。
業者が決まっていなければ自分で業者を探さないといけません。
最近では石材店以外の業種でもお墓の解体をされているところがありますが、
ご遺骨を扱うので工事は石材店がやられているところが安心です。
石材店に頼む場合は何件か見積もりを取って信頼できる石材店に頼みましょう。
直接石材店に頼まなくても葬儀社や改葬先の霊園などが窓口になって石材店に下請けに出している場合もあります。
そちらが信頼できるところであればそこに頼んでもいいでしょう。
ただし墓じまいは単なる工事だけでなく、手続きなど面倒なこともあります。
そういったことも手伝ってくれて経験がある業者を選んだ方がいいと思います。
墓じまいの費用は?
お墓の形は地域によってさまざまなので一概にいくらとは言えません。
小さいお墓だと10万程度、大きかったり場所が悪かったりすると100万以上かかる場合もあります。
一般的に場所が悪くないところで1㎡あたり10万円が相場です。
お墓の撤去工事の内訳は下記のようになります。
- 解体工事費
- 産廃費用
- 別途難所費用
山奥や車も通れないような通路の狭い場所などになると
工事機械が入らず人力での作業となるため費用は割高になります。
お墓を建てられたところが信用できる石材店なら、
お墓の構造を分かっているためそこに頼んだ方が間違いないです。
ほとんどの石材店は見積り無料なので数件の石材店に見積りをとってみるといいでしょう。
ただし極端に安いところは気を付けてください。
墓石を適切に産廃処分場で処分していない場合があります。
不法投棄をしたり、解体したお墓をきれいにして新規として売っているところもあります。
あとからトラブルに巻き込まれないように信頼のできる石材店に頼みましょう。
それ以外に墓じまいにかかる費用です。
- 必要書類の代金 数千円
- 閉眼供養にかかるお布施 3~5万円
- 離檀料 数万円~20万円
不明な点があれば石材店に聞いてみてください。
答えられない石材店は不慣れなためやめておいた方がいいです。
墓じまいの流れと作業
- 家族、親族に相談する
- 墓地管理者に改葬の意思を伝える
- 改葬先を決める
- 石材店を決める
- 改葬手続きを行う
- 閉眼供養を行う
- ご遺骨を取り出す
- お墓を解体する
- 新しいお墓に納骨する
①家族、親族に相談する
お墓は故人に関係のある人にとって大切な場所です。
家族はもちろん親族にも相談しましょう。
墓じまいをする前に以下のことについて合意を得てください。
・墓じまいを親族にも納得してもらう
・費用はだれが負担するか
・改葬方法を納得してもらう
※改葬先は新しいお墓、納骨堂、樹木葬、散骨のいずれかになります
②墓地管理者に改葬の意思を伝える
霊園や地域の墓地であればそれほど問題はありませんが、檀家になっているお寺の墓地だとあとからトラブルにならないように理由や事情を丁寧に説明することが大事です。
管理者が分からないような墓地であれば近所の方に聞いてみるか自治体に確認してどうしたらいいか確認したらいいです。
③改葬先を決める
ご遺骨は勝手に廃棄できないため、新しい納骨先を決めて改葬しないといけません。
改葬方法としては以下のものがあります。
- 新しいお墓
- 納骨堂
- 樹木葬
- 自然散骨
- 永代供養
- 手元供養
④解体業者を決める
霊園やお寺の墓地だと業者が決まっている場合があります。相場よりあまりに金額が高い場合には石材店に交渉しましょう。
そういった指定がないところは自分で業者を決めないといけません。
複数の業者より見積りをとって信頼のおける業者を選んでください。
最近では異業種や個人でもお墓の解体をやられているところがありますがご遺骨を取り扱ったりするためやはり石材店がおススメです。
改葬手続きのやり方や改葬の段取りを分かりやすく説明してくれたり、代行してくれるところだと慣れている業者です。
墓石を適切に産廃処分場で処分したというマニュフェストを出せる業者かどうかもポイントです。
マニュフェストを出せない業者は適切に産廃処理場で廃棄していない恐れがあります。
改葬先の霊園や石材店が墓じまいまでやってくれるところもあります。改葬先で相談してみてもいいですが金額に不安があれば別に見積りをとってみてください。
また墓じまいするお墓が遠方の場合、全国にネットワークを持っている全国規模の石材店か全優石(全国有料石材店)、石材産業協会に加盟している石材店に相談すれば対応してくれると思います。
⑤改葬手続きを行う
改葬するときは墓じまいをするお墓がある自治体(役所)で改葬許可証を発行してもらわないといけません。
改葬許可証は改葬許可申請書を自治体に提出することで発行されます。
改葬許可申請証はホームページからダウンロードできる自治体もあります。ダウンロードできなくても遠方であれば自宅まで郵送してもらえます。
自治体によっては申請のときに、
お墓がある墓地の管理者が発行する埋葬証明書(墓じまいする墓地の管理者が発行)や
新しく納骨する先の管理者が発行する受入証明書(改葬先の墓地の管理者が発行)を
一緒に提出しないといけないところもあるので申請前に自治体に必要書類を確認してください。
⑥閉眼供養を行う
お墓を撤去する前に閉眼供養(魂抜き)を行います。
お墓は石に魂が宿っているとされており、お墓から魂を抜いてもらい石にしてもらいます。
お付き合いのあるお寺があればそこに相談するか、お寺を知らなければ解体する業者に相談すれば僧侶を紹介してくれます。
⑦ご遺骨を取り出す
ご遺骨の取り出しが難しいお墓であれば解体業者にやってもらうといいでしょう。
取り出したご遺骨はそのまま改葬先に持っていくか、一時保管しておかないといけません。
自宅で保管するか、お寺に保管してもらうか、石材店でも保管してくれるところもあります。
⑧お墓を解体する
基本的に墓石だけでなくお墓の基礎(土台)も撤去して更地に戻してから墓地管理者に返還します。
ご遺骨が土葬されており原型が残っている場合は再火葬が必要になります。
改葬先が納骨堂などの場合にも再火葬や遺骨の洗浄をしないと納骨を受け付けないところもあるので注意が必要です。
また最近のお墓ではほとんどありませんが昔は古いお墓をグリ石代わりに使っていました。
基礎の下にそういった古墓が出てきた場合それも撤去しなければなりません。
費用は別途かかる場合がほとんどなので、前もって石材店や墓地の管理者に確認しておいた方がいいです。
やり方 やりかた やり方 やり方 やり方 やり方 やり方 やり方 やり方
⑨新しい改葬先に納骨する
ご遺骨を取り出してすぐに新しい改葬先に納骨する場合もありますし、墓じまいが完了してから納骨する場合もあります。
お寺さんや宗派、霊園によってやり方が変わってくるので確認しておきましょう。
遠方にあるお墓の墓じまいはどうすればいいの
お墓が遠方にある場合、わざわざお墓のあるところに行って段取りや手続きをしないですむ方法もあります。
ネットで全国対応で墓じまいを対応しているところもありますし、お墓のある地域の石材店に連絡して確認してもいいでしょう。
また、全国に展開している石材店や全優石や石材産業組合などに加盟している石材店だと全国の石材店にネットワークを持っています。
そういったところに相談してもいいと思います。
改葬手続きを代行してくれたり、墓地の管理者と直接やり取りをしてくれます。
ただしお墓が分かる地図や写真などお墓を特定できるものがないとできません。
また、いろいろな手続きや手間がかかるので通常よりは割高になると思います。それでも交通費やかける時間を考えると割安だとは思います。
墓じまいの注意点は?

- 親族としっかり話し合う
- お寺としっかり話し合う
- 解体業者としっかり打ち合わせをする
親族としっかり話し合う
お墓は親子兄弟だけでなく少し離れた血縁の親族にとっても大事なものです。
子供が墓じまいしたあとに親の兄弟から文句を言われたりするケースもあります。
思い当たる親族がいる場合には相談した方がいいです。
また墓じまいの費用も安いものではありません。だれがどれぐらい負担するのか?しっかりと話し合ってから決めましょう。
改葬先についてもお墓や納骨堂ならまだいいですが、散骨や永代供養になるとご遺骨が戻ってきません。
故人の遺志があったとしても散骨や合祀などご遺骨が分からなくなる改葬についてはしっかりと話し合ってください。
お寺としっかり話し合う
檀家になっているお寺の墓地から墓じまいする場合には丁寧にしっかりと事情を話して納得してもらいましょう。
一方的に「墓じまいします」と伝えるのではなく事情を説明し墓じまいせざるおえない状況であることを伝えましょう。
誠意が伝わればお寺にとっても無縁墓としてお墓が残ってしまうよりはいいので納得してもらえるはずです。
解体業者としっかり打ち合わせをする
解体業者は金額だけでは決めずに内容をしっかりと確認してください。
どこまで解体するのか?ご遺骨は取り出してくれるのか?保管してくれるのか?土葬のご遺骨があった場合にはどうするのか?
解体した墓石はどう処分するのか?周辺のお墓の養生はどうするのか?
石材店以外からの異業種や個人で解体工事をされているところも増えてきています。
思わぬトラブルに巻き込まれないように実績のある地元の石材店を選んでください。
まとめ
石材店としては寂しいことではありますが、これからも墓じまいは増えて、樹木葬や納骨堂が増えてくるでしょう。
無縁墓を増やさないためにも墓じまいは推奨されるべきものだとも思います。
まだまだ少ないですが墓じまいの補助金を出す自治体もでてきています。
これから増えてくると思いますので地域の自治体に補助金があるか問い合わせてみましょう。
墓じまいはやってしまうと元には戻せません。事前の準備や話合いをして親族や周囲の人が賛成してくれる墓じまいにしてください。